【田んぼより 手前に土合舘公園(舘の跡)奥に阿武隈山地を望む】
令和7年産の集荷も9割がた終わり出荷を待つのみとなりました。だいぶ落ち着いてきましたので、今年の米作りの反省と現在の米を取り巻く状況について思うところを書いてみたいと思います。
まず今年の米の品質ですが、当店の検査数のうち大半は1等、食味も80前後と良くできた年でした。
福島は平年より気温が3℃も高く、40℃近い気温が続いた時もあり高温障害で等級が落ちるのではないかと心配していました。田植え時期に水不足にならなかったのが良かったのか、梅雨らしい梅雨がなくても何とか出穂の時期まで来ることができました。7月下旬になると各地で水不足が顕著になり稲が枯れたニュースが流れ始めましたが、ここでは一部枯れ始めたところがあっても8月あたまの台風により助かったところが数多くありました。
ここ数年にわたる暑さに対策も取り、また稲自体も暑さに慣れたわけでもないのでしょうが、今年の出来は思いのほか良かったというのが正直な感想です。ただ、地域によってはとれなかった、2等が多かったなど地形や水の有無が影響を与えたところもあったようです。2等になった原因としてはカメムシ、胴割れや心白など整粒歩合の低さがあげられます。
その中で浮かび上がった改善点がありますのでいくつか述べたいと思います。
まず一つはカメムシ対策です。温暖化により繁殖時期や範囲が広がり稲だけではなくありとあらゆる作物に影響が出ています。昨年から山手だけでなく平場にも多く確認され、当店で検査された玄米のうち等級が2等となった原因はほぼカメムシでした。殺虫剤を使ったところも防除時期が遅かったのか2等になっていますし、今までカメムシの被害が出てなかったところも新たに出始めました。もともとここはそれほどカメムシが多い地域ではなかったのですが、適期の除草のみでは被害が避けられないため来年からは箱処理や本田での防除を農家さんに推奨したいと思います。
色彩選別機があれば(カメムシ被害の)着色粒をはじくことはできますが、収量が落ちますし何より高額でおいそれと買えるものではありません。来年も暑くならない保証はないので今年カメムシの被害が出たところは確実に防除願います。
次に水田のガス対策です。昨年は稲が倒伏するのが早く、そこからひこばえがかなり成長しました。
秋のうち耕したところはまだ良かったのですが、春先に耕したところで有機肥料が多いところ、そして土壌が砂地に近いところはガスが湧き根にダメージを与えました。ガスを抜くために早めに水を抜いたので分けつが少なく結果収量減となっています。この対策としては稲刈りが終わったら早めに耕すこと、場合によっては稲わら分解剤を投入することが推奨されます。
最後に実入りが悪くてくず米が多く、結果収量減となったところです。これは昨年倒伏したことで稲刈りが苦労したこともあり、追肥をしない、もしくはそもそも施肥を少なめに行ったことが原因と思われます。
農家さんは倒伏することを恐れることが多く、追肥の時期が最も暑い時期に重なることから躊躇したものと考えられます。特に最近は一発肥料を使う方が多いのですが、高温のため溶け出す時期が早く調節が難しいこと、また一発肥料だから追肥は要らないと思っていたことなど、追肥時期がわからない方が多くいます。
極力田んぼに入らない方向に技術は開発されますが、天気を読み、稲に聞くことが一番なのだと毎年思わされます。