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令和5年産の米作りを振り返ってーその2

 

前回、令和5年産の収量は平年並みもしくは増えたところと減ったところに分かれたと書きました。

反収の増減の原因はいくつかあるかと思いますが、まず挙げられるのは除草がうまくいったかだと思います。

これは言わずもがな、稲に吸わせるべき養分を草が吸ってしまったためです。ただ、除草剤をうまく効かせられるかは水があるかどうかにかかっているので、昨年のように雨が降らなくて田んぼの地肌が見えてくるようだと中期剤・後期剤の使用を考えねばばりません。翌年の除草やカメムシの被害も絡んでくるので確実に除草したいところです。

 

次にモミの数はあったのに籾ずりしたら収量がそれほどでもなかった場合です。

最近は作業の省力化もあり使うのは一発肥料のみという方も増えてきました。昔はとにかく収量を上げるためにようりんやケイカルをふったりしたものですが、最近は少なくなってきています。

ようりん(よう成リン肥)ですが、緩効性のク溶性リン酸肥料で、植物の実つき・花つきを良くします。石灰や苦土成分があるため銀シャリを目指すには欲しい成分で、特に最近は穂揃い期から稲にはカルシウム分が必要なことがわかってきましたので、収量増を目指すならぜひとも入れたい肥料です。当店のお客様でもその効果を実感された方がいらっしゃいました。

 

もう一点、これは温暖化に大きく関与する部分かと思うのですが、稲は一生のうちで自分がつけるモミの数を決める時期があります。7月下旬からたくさんついた籾をそのまま実入りさせることができるか判断し数を減らしていくので、収量増を狙うならモミの数に合った穂肥が必要になります。今までの気候なら良かったのですが、昨今の高温で一発肥料の追肥分として溶け出す時期がずれてきて、必要な時期に必要な養分が供給されなくなってきておりせっかくできた籾に実が入らない事態となっているのです。

 

せっかくできた米も今年は等級が落ちて減収となった農家さんも多かったと思います。

その考察はまた次回にいたします。