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農の始め

 

新年になって一旦雪が降ったかと思いきや急に春のような陽気になりました。

たぶん、岩井さんは今年も農の始めをやっているはずと思って通ってみたら、ありました。

田んぼの真ん中に松飾りをさし、お酒やお米、餅をお供えして(各地いろいろあるようですが)田んぼの神様をまつり、豊作祈願をします。いまややっている所は本当に少なくなりました。

 

今日は小正月。

地域によってはどんと焼きをやっている所もあるようですが、ここの地区ではだいぶ前にやらなくなりました。

昔はどんと焼きで餅を焼いて無病息災を願ったものですが、今やお正月にお餅を食べる家庭も減っているそうで、お正月に特別感もなくなりつつあります。

今年ついに我が家でも団子差しに使うミズキの木を調達できず、小正月の飾りを買ってくることになりました。

 

 

今まではミズキの木と飾り、団子の粉を買ってきて自宅で作っていましたが、ミズキの木を出されている方が高齢となって木を切りに行けなくなり、せっかく飾りは買っていたのに断念。買ってくれば楽なのですが、なんだか違う。こうやってだんだん行事や慣習が無くなっていくのでしょう。

 

買った方が楽。やらない方が楽。便利さを求めて世の中が動いてきました。

世の中のスピードが早すぎて、今やコスパどころかタイパなんだそうで、音楽のイントロもだんだん短くなっているんだとか。そのうち人すらも時間の波にのまれてしまいそうです。

 

農業というのは、水と太陽と人との共同作業です。

田畑を耕し、種を蒔き、雨が降り、日が照って、作物は育っていきます。

「私たちは自然の恵をいただいてるんだ」と実感している人がどれだけいるでしょうか?

早くと言われて芽が出るわけではない。降ってと言われて雨が降るわけではない。

思い通りにはならないからこそ、あることがありがたいのです。

 

買うこともおぼつかなかった時代、様々な願いをこめて慣習はありました。

便利な時代となった今、昔ながらの慣習は無くなったり形を変えつつあります。

ただ、そうであったとしても慣習に込めた思いは忘れてはいけないのではないかと、松飾りを見ながら思いました。