猛暑の中で

先日、ある会社さんが営業に来られました。

「いやあ、もうメーカーから3回目の値上げ要請がきているんですよ。材料が石油製品なんですべて輸入ですし、円安ですし、電気代は上がるしで、、、」

「肥料も値上げなんでしょう?なんでも94%上がるとか」

「それは、単肥ですね。化成だと50%くらいかな。ただこれは秋肥なんで来年の春肥はわかりません」

「工業製品はいいんですよ。製造原価が上がったら、すべてではなくても価格に転嫁できるから」

「農産物は需要と供給で価格が決まるので、はい、転嫁ってできないんですよね。肥料は上がる、燃料は上がる、出荷するためのダンボールは上がる、それなのに価格は上がらない」

「上がるのは供給が滞った時。たとえば最近なら、玉ねぎ」

「高かったですね。1こ300円の玉ねぎなんて買えませんよ。それじゃあ、農家をやめていく人出てきますね」

「出てくるでしょうね。この間酪農家さんが来られましたけど、エサ代が高くて補助金もらったって足らない。酪農家もやめる人が出てきて2,3年後には牛乳は不足すると言ってましたよ」

 

なんだか話していてやるせない気持ちになってきました。

農業など第一次産業は国の基幹となる産業なのに、それで生活ができないなんて後継者がいなくて当たり前じゃないか。食の安全保障なんて絵にかいた餅だな

 

テレビでは暑さで出荷が前倒しになって値段が安くなった野菜のことを伝えていました。そして高温障害で規格外になった野菜のことも。農家さんの手元にはいったいいくら入るのでしょう?

ですが、いずれ品不足になって価格上昇は避けられません。この高温障害と戦う農家さんのために、B級品であってもA級品に近い値段で出回ることができれば、互いにとって助かるのではないかと考えたりします。

 

商工会の集まりで他の商店さんが言っていたそうです。

「市場にあったのは、マグロ1本のみだった」

「お盆の花は数が少ないし高いしで、数を確保できない」

物がなくなるということはどういうことなのか、垣間見た気がして空恐ろしくなりました。

 

安さや高品質を求めるのは悪いことではありません。しかし、作り手あっての消費者です。作り手がいなくなっても消費しなくなることはありません。利益を求めて海外から調達することで国内の産業が衰退していったら、、、 猛暑の中で、だんだん首を絞められていく感じを覚えたのは私だけではないと思います。

補助金だけではなく、消費者の意識の改革がなければ乗り越えられない大きな壁が目の前に迫っています。