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肥料の高騰に思うこと

 

JA全農の令和4年度の秋肥価格の発表に激震が走っています。

輸入の尿素が春肥対比で+94%、塩化カリが+80%の値上げというのですから当たり前です。おなじみの高度化成(オール15)でも+55%。価格上昇を抑えるためにオール8で作ろうかとの話もあるほどです。

日本のお米の自給率は100%となっていますが、肥料はほぼ輸入に頼っており食糧の生産がいかに危うい状況であるかがわかります。

原油の高騰や中国、ロシアの輸出制限による肥料需給のひっ迫はしばらく解消される見込みはなく、政府に対して来春の肥料価格に対する支援をお願いする動きもありますが、まだ不確定です。

 

振り返って国産の肥料はどうなっているかと言いますと、こちらも電気や重油といった製造にかかる経費の上昇、包装資材や運賃の値上げなどが重くのしかかり、輸入ものほどではないにしても値上げの要請がきています。

当店で扱っていますソフトシリカなども最大で4割近い値上げの通知がきており、国産なのになぜと思ったところ、原因は昨今の異常気象による大雨で原材料に含まれる水分量が多くなり、製品化するまでにかかる重油の量が増えたことが原因だそうです。

別の肥料メーカーも材料となるこぬかが品薄で何倍にもなっているとのこと。国産も原材料不足に悩んでいます。

 

この状態が春まで続けば農家の経営難は避けられず、離農につながることになってしまいます。

当店といたしましては食物残さや緑肥、動物性堆肥の活用、土壌分析による施肥設計などでなるべく負担がかからない方法を模索しています。作物にもよりますが、特に土壌中のカリは過剰なことが多く有効活用するにはどうすればいいか、知恵を絞らねばなりません。もしくは肥料や農薬を最小限にし、収量とのバランスで損益分岐点を下げることもありかなと思っています。しかし、いかんせん食糧は需要と供給により価格が決まり、作り手の利益を十分に生み出すものになっていません。スマート農業と言われますがそれにかかる経費や昨今の異常気象による収量減など取り組む課題は山積みです。

 

ロシアのウクライナ侵攻により小麦価格が高騰し、世界的な食糧難がささやかれていますが、肥料価格の高騰で離農する人が増えてしまっては食の安全保障どころではなく、自給自足するしかなくなります。多少割高であっても国産のものを買うことが農家への応援につながり、ひいては自給率の向上につながると思うので、買い物をするときに頭の片隅にそんなことを意識していただけるといいなと願っています。