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最後までわからない

 

ここ数日雷雨になることもなく暑さも戻ってきました。

何より吾妻や安達太良の山々がきれいに見えて気持ちがいいです。気温も30℃は越えますが猛暑日にはならないので、稲にとっても待ちに待った日差しです。

 

田んぼに行ってみると、大竹さんは畦畔マルチをはがし始めていました。

「水なくなってきたけど入れた方がいいがない?」

「いや、まだ割れるほどではないし予報で傘マークついてるところありますから、このままでいいんじゃないですか?」

だんだん、稲穂も曲がってきています。

 

次に岩井さんの田んぼに行ってみました。

会長が先日風害にあった岩井さんの稲をもらってきたのがこれです。

 

 

 

被害の大きいところを取ってきたとはいえ、かなり茶色いところが目立ちます。

ここ数年、風による被害はあまりなかったことから、先週は何件か問い合わせがきていました。

実が入らなかったところはもみずりではじかれてしまうので、その分減収となります。

 

そして今日気になる稲穂を見つけました。

 

 

他の稲が曲がり始めているのに、まっすぐなままの白い穂があるのがわかるでしょうか?

風害とも違う。。。会長に伝えたところ、「いもちか、ニカメイチュウか」

すぐさま田んぼに行って抜いてきました。

 

「これは、枝梗いもちだ。」  「えっ?いもち?珍しいね。」

岩井さんの田んぼでイモチ病。しかし、広がるわけでもありません。

有機栽培で農薬は使えないので、ソフトシリカを使って稲を固くすることで病原菌を寄せ付けなくするのですが、SPADで40あったことと、発生しやすい気候だったことでその穂だけ発症したようです。

 

 

 

下側の穂の茶色いところは風害にあったところ。そして、上側の白い部分が枝梗いもちにかかったところです。

茎が菌によって茶色くなったところから栄養がモミにいかないため白くなっています。最近は箱処理剤を使うことによっていもち病になることはあまりないので久しぶりに見ました。

条件が揃うといもちになるんだなあと確認した感じです。

 

春先から追いかけてきて、稲刈りまであとひと月半。

ここ数年の異常気象で暑さ、寒さに大雨、風と一筋縄ではいかないのを見てきました。これから台風シーズンを迎えるわけですが、これ以上心労が増えませんように。

ライスセンターに集まる古老、いやベテランの方々はいつも言っていました。

 

「最後までやってみないとわかんねえんだ。」「モミの量じゃない。ちゃんとした米になってっかどうかだ。」

 

 

8月31日 追記

岩井さんがお越しになったので枝梗いもちのことを聞いてみました。

「枝梗いもちのことは知っていたが初めて見た。危ねな~って思ってソフトシリカをバケツひとつ多めに手前のところはふってたんだ。 なったところはあるけれど、広がらなかったのはソフトシリカのせいだな。葉はまったくかかっていないし、田んぼの奥の方も大丈夫だった。」

「やっぱり雨のせいだな。気温が下がった時にできてそのあとのうむれたときに発症したんだろう。」

「白いから目立つんだよ。先に抜いちまうかと思ってんだ。」と苦笑いしていました。

 

よく見つけたなと言われたので、内心(ピース)です。