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令和2年産の米作りを振り返って

 

昨年は春から岩井さんの米作りの追っかけを始めました。

有機栽培追っかけ日記の第1回目はなんと緊急事態宣言の真っただ中。外出自粛だの言ったって種を蒔かねば収穫はないと意気込んでいました。

4月18日は大雨洪水警報が出るほどの大雨が降り土砂崩れをおこしたところがあるとの記載があります。

昨年の異常気象はすでにここから始まっていたんですね。4月には低温が続いていたのが一転、5月上旬には30℃を超し下旬には今度は11℃まで気温が下がっています。

 

そして、覚えているでしょうか。6月には梅雨の季節だというのに連日の30℃超え最高気温が35℃になった日もありました。雨がいっこうに降らず、田んぼの水は無くなりお客様から暑さ対策の相談も舞い込んできました。

この頃から今年の稲は茎数がたちすぎている、色も褪めないし倒伏の危険があるとお客様の田んぼを見回っては

青空講習会が開かれていました。

 

7月は一転、九州には災害が出るほどの豪雨が降り、ここもたまに雨があがるものの中干しはできず、低温と日照不足に悩まされました。普段ならイモチ病にならないようなところも色が濃く茎数がたちすぎたためにイモチ病にかかったところもあります。

 

8月は猛暑日が本当に続きました。全国では40℃を超えた所もあり、福島も38℃を記録しています。

稲は暑くなりすぎるとデンプンをためることをやめるのですが、今年はこの高温障害で「シラタ」と呼ばれる白っぽいお米が増え等級を下げる一因となりました。

そして、9月は大型の台風10号がやってきて雨や風の被害を各地にもたらしました。なんとかがんばって倒れなかった稲も今年は軒並み倒れ、収穫にも苦労したのは記憶に新しいところです。

 

 

 

こうして振り返ってみますと、日本はもはや熱帯地域の仲間入りをしたのかと思いたくなりますが、冬は冬で警報が出るほどの風雪。これからは毎年このような異常気象と向き合わなければならないのかもしれません。

となると、その対策をどうするのか?

これはいかに気象変動に強い稲を作るかにかかっています。そのためには土壌の改善と適切な施肥と水の管理が重要となります。

特にリン酸とケイ酸は根と葉の働きを維持するためには必要で、当店ではようりんやソフトシリカの施用をお薦めしています。また、地力増強のために稲わらの鋤き込みはとても有効なのですが、あまり多すぎると有機酸やガスの発生により根を痛めることがありこれには腐植化促進剤を使用するなどの対策が必要です。

(今年岩井さんの田んぼでガスが湧いたところは茎数が通常の三分の一になったのは日記に書いた通りです。)

 

 

 

米作りを振り返ってもうひとつ重要だと思ったのが雑草対策です。

ひとつは「アオミドロ」、そして上の写真の「イボクサ」です。

昨今の気温の上昇により「田んぼのあく」と言われるアオミドロの発生はとても多く、昨年間違った対応をしてしまったばっかりに田植えをやり直したところもありました。これは専用の除草剤を使うなどで対応は可能ですが、問題はイボクサの方です。

昨年悩まされた方は今年対策を取りましたが、今年もまた田んぼ一面イボクサに覆われ稲刈りをイボクサの枯れる12月までできなかった田んぼがありました。

昔はイボクサは畦畔の草のイメージでしたが、今や田んぼの中に生えています。対策としてはイボクサ対応の除草剤を使うほか畦畔の草刈りなど手を早いうちにかけるしかなく、いつものことながら雑草対策は先手必勝だと思います。

 

稲刈りが終わってから当店に除草のことや収量を上げる方法を聞きに来るお客様もいらっしゃいますので、

今年の天候をみながら随時青空講習会を開こうと考えています。

不安や疑問に思うことがありましたら一度お声をかけていただければ田んぼにはせ参じます。

今年もやまろく商店をどうぞよろしくお願いいたします。