前回は等級検査の大まかな流れを説明しましたが、当店ではさらにもうひとつ調べるものがあります。
そう、「食味」です。
当店では、静岡製機の機械を使って測っています。何社か食味計は作っていますが、メーカーによって数値が大きくなったり小さくなったりするので、食味コンクールなどでは二社の機械で測ったりします。
表示されるのはまず水分です。前回もお伝えしましたが16%以上は規格外になるので必ずそれ以下になっているか食味計でも確認します。
次にタンパク質です。この値が高いほど食味のスコアは低くなり、6%以下が望ましいと言われています。
高くなる原因は何かというと気象条件や追肥の遅れなどで、チッソ成分が多い肥料で作る「天のつぶ」などは
タンパク質が高くなり食味の値は総じて低くなります。当店で毎年総会に合わせて作る食味ランキングの上位は
ほぼ「コシヒカリ」になるのはこのためです。
そして、アミロース。
お米の80%を占めるデンプンがアミロースかアミノペクチンかによって食味が大きく分かれます。
アミロースが多いとご飯に粘りがなく、アミノペクチンが多いと粘りがある。もち米はアミノペクチンが100%なので餅にできるんですね。
この成分比率は米の品種間の差によることが大きいのですが、栽培方法によって是正が可能です。
脂肪酸度は文字通り脂肪の酸化度を表したものです。米からこめ油がとれるように、実はお米にも油分があります。玄米は生きていて呼吸をしているので時間がたてばたつほど酸化は進みます。古米を測ると高くなるのはこの値ということになります。
上記の値を鑑みてはじき出されるのが、スコア(食味値)です。80以上が美味しい米の目安とされており、当店でも80以上を目指して米作りの指導をしています。
今年は昨年よりも全般的に値が高く90以上のスコアを出したお米もあり、味の良いお米が出来ていると言えます。
同じ肥料同じ作り方をしても毎年出来が違い、農業の奥深さ、面白さを数値の面から見ることができるので
これを活用してまた来年につなげたいと思います。