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令和元年産の米作りを振り返って

 

 

 昨年末、全国の主食用水稲作況指数が「99」と発表されました。

 

 度重なる自然災害があったにしては思いのほか高いというのが第一印象です。

 

 内容を見てみると、北海道・東北が「104」、北陸が「101」となった一方、中国「97」

 

 四国・沖縄が「94」、九州に至っては「87」と主産地の北海道・東北の作況が全体を

 

 押し上げた感じです。

 

 実際当店においても出荷数が追加になった方も多く、全体的に前年よりは取れている印象でした。

 

 しかし、等級を見てみると、新潟ではコシヒカリの一等米の比率が9月末時点で20%台と低く

 

 福島県においても、10月末時点でコシヒカリの一等米比率が92.7%(昨年同期97.1%)

 

 天のつぶにいたっては83.2%(昨年同期91.8%)と前年より低下しています。

 

 

 

 今年は特に「シラタ」と呼ばれる乳白色の未成熟粒の多さが等級を下げる原因となっており

 

 その理由として、梅雨が長引いたことによる日照時間の不足(光合成により充分デンプンを作れない)

 

 高温で夜の気温が下がらずできたデンプンを自身の呼吸に使ってしまい蓄えることができない

 

 といったことがあげられます。

 

 その結果、粒の中に空気が多く入って白く見えるということがおきました。天のつぶのような粒の

 

 大きな品種はよけい乳白部分が目立ち等級を落とすことにつながっています。

 

 *シラタは食べられないわけではなく、多く含むご飯を炊くとべちゃっとした食感になりやすい。

  

 

 

 もうひとつ令和元年産の米作りにおいて農家の頭を悩ませたもの、それは雑草です。

 

 田んぼの真ん中にまるで田んぼアートを作ったかのような赤く紅葉した草「イボクサ」。

 

 今までもあった雑草ですが、近年勢いを増し対応に苦慮しています。

 

 もともとは畦畔に生える草でしたが、中干しする頃から田んぼに侵入しいつの間にか広がっていき

 

 稲刈りする頃にはご覧の状態に。コンバインを故障させる頭の痛い雑草です。

 

 これまでもホタルイやアゼナ、クログワイなどたくさんの草と戦ってきましたが

 

 防除体系を見直しきちんと除草剤を効かせることが一番であることに間違いありません。

 

 

 

 今年も昨年のような災害がないとは言い切れない状況ですので、地力を増強し施肥管理と水管理を徹底して

 

 影響を最小限に抑えられるよう農家さんと共に頑張っていきたいと思います。