現在の稲の生育状況について

 

令和5年産のお米が高騰する中、令和6年産のお米の出来が気になるところかと思います。

来月には早場米も出回りますが、現在の価格の高騰を受けて概算金は昨年より上がる方向です。今年のお米の出来は出穂が始まる今月下旬から来月にかけての日照時間と水の有無にかかっていますので、まだ豊作かどうかはわかりませんが、現在の当地区でのお米の生育状況をお知らせいたします。

 

現在当地区の田んぼは中干しの真っ最中です。今年は梅雨入りも遅かったうえに地形的なものもあるのでしょうが、梅雨と言えどまとまった雨は降らず今週に入ってからやっと降り始めました。

気温は全体的に高めに推移していましたが、6月は朝晩が涼しくそのためか茎数がバラバラで背丈も低め、中干しをいつから始めるか悩むところでした。

ところが、梅雨だというのに熱帯夜の日が続いたとたん状況は一変。茎数がたち株間はあっという間に埋まり緑色のじゅうたんが広がっていきました。

 

 

気温も高めで雨も少ない割にぱらつくことで元気が良かったのが田んぼの草たちです。耕起したことで種に日が当たり雨にあたったことで発芽が早くなり、今年はヒエなどの取りこぼしが多くなりました。除草剤をふり遅れたところはもちろん、通常なら梅雨の時期で曇天日が多いはずが晴れたことで除草剤の分解が進み、水を落としたら草だらけだったところもありました。

今年ほど後期の除草剤が売れた年もないのではないでしょうか。収量減に直結するため晴れた日を待って散布しています。

 

今年は追肥をいつやるかが難しく、農家さんから稲を見てほしいとの依頼を受けSPAD(葉緑素計)の数値を見たり幼穂の大きさを見たりしながら指導しています。現在のところ、出来すぎた稲が多く、葉がピンと立っているものはまだいいですが、ふらふらとしているものは倒伏の可能性が高いと見ています。

当店ではイモチ病の予防や倒伏防止にソフトシリカを使っていますが、この時期のケイ酸の重要性は言わずもがな。中干しても色が褪めない田(特にコシヒカリ)はかなり危険です。

品種にもよりますので、迷った場合はご相談ください。

 

昨年は高温により出穂期は1週間ほど早め、成熟期も5~12日ほど早まり登熟期はかなりの高温となりました。出穂期後20日間の平均気温が26℃を超えると白未熟粒が増加することがわかっており、梅雨明け後にいかに品質を保つかがカギとなります。

福島県では高温化の白未熟粒の防止に出穂期の追肥を推奨しています。試験栽培田で出穂期に追肥することで玄米の品質が向上することがわかったためですが、この時期の追肥はタンパク質の含量が増え食味を低下させることがあるので、あくまで高温条件下で稲の生育を確認しながらとなります。

 

昨年の経験から田植えを遅らせましたが、それすらも挽回するほど生育が進んでいます。昨年は水もなくかけ流しもできませんでしたが、今年の8月の降水量はいかほどか。かけ流しができればいいのですが、ない場合は間断灌水、もしくはピタピタ程度の飽水管理で夜間の地温をいかに下げるかが重要となります。穂が出てからの稲は水をたくさん吸いますので、水を切らさないように管理することが大事です。

 

今年は全国的に高温・多雨となっていますのでこのままいけば豊作の予感がしますが、梅雨明け後の天気に注目しながら新米を楽しみに待っていただければと思います。